内視鏡下消化管異物摘出
様々な異物(おもちゃ、ゴムボール、スーパーボール、プラスチック、ゴム、石、金属、指輪、骨、種、針、縫い針、画鋲、釘、ひも、糸、紙類、包み紙、布類、アルミホイル、サランラップ、人用飲み薬、ビニールなど消化できない物、竹串、おやつのジャーキーやビスケットを丸呑みする、毒物や化学薬品etc. 本当に驚くほど様々な物を飲み込むのを経験しました!)の誤食は犬猫ではよく認められます。うまく便に排出されれば良いのですが、胃の中にずっと残り、嘔吐を引き起こしたりするケースや、異物が腸の中を流れていく途中で詰まって腸閉塞を起こし、そのままでは腸穿孔や腹膜炎を起こすような重篤なケースもあります。
迅速な検査と処置が異物を誤食してしまった場合には重要になります。
異物除去には内視鏡での処置を迅速に行うことにより、手術でお腹や胃腸を切ることなく、動物の体を傷つけずに少ない負担で異物摘出を行うことができます。
実際の処置例
症例1
猫、嘔吐頻回。家のネズミのおもちゃがしばらく前から見当たらない、とのことで来院。
レントゲンで胃内と十二指腸に異物を認めたため、内視鏡で摘出しました。
写真a 胃内のネズミのおもちゃ |
写真b 十二指腸のネズミのおもちゃ |
写真c 摘出したねずみのおもちゃ |
【まとめ】
摘出されたネズミのおもちゃは胃液の影響か表面が変色し硬化してため、おそらく飲み込んでしまってから大分時間が経過している様子でした。胃の中にある間はたまに吐くだけなどあまり症状を示しませんが、今回 嘔吐がひどくなったのは十二指腸へ流れていきそこで閉塞を起こしたためだと思われます。幸い症状が出てからはすぐにご来院されたため、十二指腸閉塞からくる腸の潰瘍、壊死や穿孔、腹膜炎などの症状もなく内視鏡下で摘出することができ、日帰り退院となり、経過は良好でした。
このように異物の形状や種類によっては飲み込んですぐにはあまり症状を示さないことも多いです。症状の有無だけで判断せずに、家の中の物が見当たらなくなった、口にくわえて遊んでいた、など異物を飲み込んでしまった疑いがある場合には、まずは動物病院にご相談下さい。